2020年の最新情報

2020.12.31更新 1707(宝永4)年12月16日富士山宝永噴火に「宝永火口」の記事を追加しました.

2020.12.28更新 伝承と交流の場「MEET門脇」クラウドファンディング成功!!皆様ご協力ありがとうございました.GaNTも微力ながら応援いたしました.MEET門脇へご訪問の際にはGaNTのプレートを探してください!

2020.12.23更新 11月中旬の富士山便り

2020.12.23更新 日本第四紀学会2020年オンライン大会で発表します。

2020.12.21更新 震災10年の石巻。伝承と交流の場「MEET門脇」の建築に参加しよう

東日本大震災の悲しみを忘れず未来を守るための施設です.寄附申込みは12月25日(金)23時までです!よろしくおねがいします!

2020.12.19更新 お城EXPO 2020の会場でRCMapの3D動画を上映されました。(お城EXPO2020公式HP

2020.12.16更新 1707(宝永4)年12月16日富士山宝永噴火

2020.12.16更新 富士山の謎をさぐるー富士火山の地球科学と防災学ー

2020.12.01更新 調布市で道路陥没-3 「東京外環トンネル施工等検討委員会 有識者委員会」報告

2020.11.27更新 11月上旬の富士山便り

2020.11.15更新 1986(昭和61)年11月15-21日伊豆大島噴火 日付を訂正しました(11.18).

2020.11.02更新 10月下旬の富士山便り

2020.10.21更新 調布市で道路陥没-2 陥没地点周辺の地形図

2020.10.19更新 調布市で道路陥没-1 狛江市ー調布市ー三鷹市牟礼断面図

2020.10.18更新 10月18日の富士山便り

2020.10.14更新 1984(昭和59)年9月14日御嶽崩れ(長野県西部地震)続

2020.10.05更新 JpGU発表 遠藤ほか「東京台地部のオールコアと ボーリングデータ解析から見えてきた 古多摩川の大規模な側方侵食」

2020.10.10更新 台風14号接近にご注意ください(その2)

2020.10.09更新 台風14号接近にご注意ください(その1)

2020.08.26 防災アラカルト(1) 杉山一郎氏による徳之島探訪.徳之島の地形や災害の解説と共に,海蝕洞,海蝕台,メランジュ堆積物の写真は見事!

2020.08.24 富士山便り,8/20,8/21,8/22,8/23,8/24

2020.08.17 中村裕昭氏から届いた「北海道南西沖地震」トレンチの写真を追加

2020.08.11 2020年7月梅雨前線豪雨の要因および過去類例との比較

2020.08.01 富士山便り7/267/8

2020.07.18 *今日は何があった日?* 1993(平成5)年7月12日北海道南西沖地震 奥尻島青苗地区の津波被害前後の写真掲載!

2020.07.17 7/15 14:00 西之島<火口周辺警報(入山危険)が継続>

2020.07.15 2020.7.3からの豪雨 7/13の天気図から一時的な冷風をもたらしたオホーツク海高気圧について解説

2020.07.14 *今日は何があった日?* 1993(平成5)年7月12日北海道南西沖地震 加筆しました.

2020.07.13 地球惑星科学連合大会 開催中! 19日(日)17時30分まで.19日(日)は一般参加者(要登録)も閲覧できます. 

2020.07.12 *今日は何があった日?* 1993(平成5)年7月12日北海道南西沖地震

2020.07.08 *今日は何があった日?* 2017.7.5九州北部豪雨 「空中写真でみた土砂の分布の図」の解像度up!

2020.07.07 2020.7.3からの豪雨

2020.07.06 *今日は何があった日?* 20170705九州北部豪雨の総観気象場からの再検討 

2020.07.05 *今日は何があった日?* 2017.7.5九州北部豪雨

2020.06.15 *今日は何があった日?* 1991.6.15ピナツボ火山の噴火

2020.06.11 「火山学」

2020.06.11 「トコトンやさしい地盤工学の本ー今日からモノ知りシリーズー

2020.06.10 20200606関東の雷雨・降雹を探る 

2020.06.03 *今日は何があった日?* 1991.6.3雲仙普賢岳火砕流 

2020.05.30 会員専用ページを開設しました。 会員のみが視聴できる動画配信もページ内で行っています.

2020.05.28 富士山の日常を写真と天気で紹介する富士山便り始めました!

2020.05.26 *今日は何があった日?* 1983.5.26日本海中部地震

2020.05.25 5月23日に2020年度理事会をオンライン会議にて実地しました.本年度の通常総会は,新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からオンライン形式で行う予定でいます.詳細は事務局からメールにてお知らせいたします.

2020.04.24  多摩川に沿う地形の特徴  自然災害や環境問題にかかわりの深い多摩川に沿う地形について様々な角度から取り上げたReport②〜⑧≪多摩川に沿う地形はどうなっているのだろうか? そこから多摩川の流れ方の特性を読み取れるのではないだろうか≫を1つにまとめましたので,通してご覧ください.

2020.04.22 解説:首都東京の地形 ―武蔵野台地の区分(最新版)を紐解く―(後半)

2020.04.17 解説:首都東京の地形 ―武蔵野台地の区分(最新版)を紐解く― 

2020.04.14 *今日は何があった日?* 2016.4.14,16熊本地震

2020.03.17 3/18 12:30- 防災学術連携シンポ「低頻度巨大災害を考える」ネット中継!

2020.03.11 *今日は何があった日?* 東日本大震災

2020.02.28 地盤なう レポート⑦(続)「7.多摩川の側方侵食(側刻)と軟岩」

2020.02.22 地盤なう レポート⑦「7.多摩川の側方侵食(側刻)と軟岩」

2020.02.07 GaNTの図書室 DVD「デジタルブック最新第四紀学」 1部1000円に!!


2020.1.4 新年の御挨拶

写真 戸田公園付近から見た夕焼けの富士山.
写真 戸田公園付近から見た夕焼けの富士山.

新年にあたって

 新年にあたり,皆さんにNPO法人首都圏地盤解析ネットワークからのご挨拶を申し上げます.

 当NPO法人は設立から約8カ月を迎えます.この間には主に,ホームページでの情報発信を進めてきました.一般の方にもわかりやすくをモットーに,RCマップなどの図を用いて説明するなどの工夫をしながら武蔵野台地の地形の紹介等を進めました.昨年10月には台風19号などの極めて広域にわたる豪雨災害が発生しました.従来の予想を超えた豪雨や強風に対して,まだまだ脆弱なことも露呈されました.地球規模での気候変動が進行し,今後ますます気候の激甚化が進むであろうという中で,こうした災害の起こり方や対応の仕方をより長い時間軸の中でとらえなおすことが問われていると思います.台風19号をはじめとする連続台風に際しては,気候・気象学的な側面からの検討をトピックス欄に掲載しました.さらに避難行動などにも関連して洪水ハザードマップの重要性が指摘されました.特に多摩川洪水に関連して,洪水に関わる地形の検討が足りないと感じましたので,多摩川に沿う地形についての解説を数回に分けて進めています.今後のハザードマップの作成にも役立つようにとの考えから,一般向けよりもやや専門的な研究者・技術者向けになっている面もあります.今後も,なかなか難しいのですが,できるだけわかりやすくを追求していくつもりでおります.

 

 またいささか情報発信が一方通行になっている側面も気になっております.いろいろなご意見をいただいて改善していきたいと思いますので,ご意見をお寄せください.

写真 戸田公園付近から見た夕焼けの富士山. 丹沢山地は富士山の左右手前,その左に箱根山がある
写真 戸田公園付近から見た夕焼けの富士山. 丹沢山地は富士山の左右手前,その左に箱根山がある

 この写真は埼京線戸田公園駅(埼玉県最南部)の近くの建物の10階から撮影した夕焼けの富士山です.この付近から富士山までは約100㎞の距離があります.富士山の南側には肩が付いてますが,標高2700mの宝永山(このすぐ脇から1707年の宝永噴火が発生)です.丹沢山地の大山は富士山のやや左手の方角です.その南側にはほかに高い山はないので,富士山の左側の供え餅のようになだらかなスカイラインは一部雲が重なっていますが,大山(1250m)が縁にある丹沢山地(1000~1700m)と標高1000~1500mの箱根山が重なって見えているのでしょう.富士山の右側には丹沢山地・御坂山地と関東山地の稜線が連なっています.

 首都圏を取り巻くこれらの山地に,台風19号では大量の雨がもたらされ,流下河川を通じて首都圏に様々な災害をもたらしました.富士山の流域としては,北麓は桂川や道志川など相模川水系に属しており,東麓では御殿場市の北側は酒匂川を通じて足柄平野に流下します.

 

 因みに,私の研究室は現在この10階に引っ越しの最中です.

図1 埼玉県最南部から富士山方向を望む3DのRCマップ(杉中氏作成.縦スケールを10倍,標高10m未満は1m、10m以上は10mごとに色付けしている).ピンク色の等高線は,大宮台地では10m,武蔵野台地の中央で100m,同台地の付け根の青梅付近で200mを示す.
図1 埼玉県最南部から富士山方向を望む3DのRCマップ(杉中氏作成.縦スケールを10倍,標高10m未満は1m、10m以上は10mごとに色付けしている).ピンク色の等高線は,大宮台地では10m,武蔵野台地の中央で100m,同台地の付け根の青梅付近で200mを示す.

 上の写真とほぼ同じアングルで,RCマップを作成してもらいましたので、比較してご覧ください.縦を10倍にするとかなり巨大に見えますが富士山に降った雨(や雪)の多くは上記のように首都圏に至ります.仮に富士山が噴火すればその影響は主に東方~北東方に及ぶと考えられています.

 

図2  台風19号に伴う総降水量[㎜,48時間](10月13日01時まで)の10月平均降水量に対する比率〔山川:東日本大規模水害を引き起こした台風2019年19号,本ホームページ〕
図2  台風19号に伴う総降水量[㎜,48時間](10月13日01時まで)の10月平均降水量に対する比率〔山川:東日本大規模水害を引き起こした台風2019年19号,本ホームページ〕

 富士山の手前には最高峰は1600mを超える丹沢山地,御坂山地があり,さらに写真の右側は関東山地で,2000mを超す山々が連なり広域を占めています.昨年の台風19号はこれらの山々が連なる丹沢山地や関東山地に集中的な豪雨をもたらしました(地盤なう#気候・気象#2019年の台風情報 旧:本ホームページのトピックス,台風19号:山川修治を参照).図2はその記事にあるもので,広い関東山地に降った雨は,東は多摩川,荒川,神流川などに,西は主に千曲川に排水され,それぞれ災害を引き起こしています.図2は10月13日01時までの総降水量の平年に対する比ですが,関東山地では最大4~4.5倍に達しています(紺色).台風19号は12~13日には主に東北地方に豪雨をもたらし,各所で水害を発生させました.

 本NPO法人の名称は,「地盤解析」の前に首都圏という言葉がついています.日本の首都圏は、1956年制定の「首都圏整備法」において「東京都の区域及び政令で定めるその周辺の地域を一体とした広域」とされ,その下位法令である政令「首都圏整備法施行令」において,「その周辺の地域は、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県及び山梨県の区域とする」と定められています.しかし、昨年の台風19号を見ても,重要なのは流域界であって、県境ではないことははっきりしています.さらに流域界を挟んで東側には荒川や多摩川等が,西側には千曲川が関東山地を中心に降った雨を大量に急速に排出して水害をそれぞれにもたらしています.またひとたび火山活動が始まれば,周囲の火山から首都圏が襲われる可能性は小さくありません.我々としては必ずしもこうした法令にとらわれず,東京の日本橋を中心に大掴みに100㎞圏を東京首都圏としますが(100㎞は東は銚子,北は矢板,西は107kmの甲府,南は伊豆諸島をふくめ,富士山、箱根山,浅間山,榛名山,赤城山,男体山(日光火山群),那須火山,伊豆火山群などの火山からは直接の影響を受けてきたので含める必要があり,結果として長野県や静岡県の一部も含める必要があります.

 

 領域をこのようにやや広域な首都圏と考えればいいのかというと決してそうではありません.豪雨災害で思い起こすのは,2017年7月に発生した九州北部豪雨や2014年の広島豪雨です.九州北部豪雨では,12時間で500㎜を超す豪雨が,地形を変えてしまうほどのすさまじい災害をもたらしました.私たちは首都圏にとらわれず,各地で起こった事例から多くを学ぶ必要があります.近年増加している極めて強い豪雨による災害の発生機構や災害への対応の検討は,どこであっても大変参考になるものです.

 さらには,上記首都圏の地形・地層の年代決定にはAT火山灰, Aso-4火山灰をはじめ九州や中部地方から飛来した広域テフラが鍵となります.それらは広域に広がる巨大噴火の産物であり,火山防災の観点からも無縁ではありません.

 火山災害だけでなく,地震災害にしても気象災害・土砂災害にしても同様の面があり,つまり領域を機械的に区切るのではなく,中心は首都圏に置きつつ必要に応じてフレキシブルに考えるということが大切であると思います.

 

 このように,私たちはやや広めの首都圏を中心にしながら,日本列島やあるいはその枠にもとらわれず,地形や地質からなる土地の成り立ちを明らかにし,そこで発生する諸自然災害の特徴を把握し,様々な視点からの取り組み,対応策に生かしていくようなスタンスで進んでいきたいと思います.

 

 皆さんからのご意見をお待ちしております.

 

令和2年正月