最終更新 2024.3.26
おりしも1月1日に発生した能登半島地震で、この阪神淡路大震災を想起された方も少なくないかと思います。実態がなかなかつかみきれない中で、ようやく何がこの災害を引き起こしたのかが、分かり始めています。阪神淡路大震災の教訓もよく思い起こしておく必要があります。
今回の地震活動は、日本海東縁に位置する日本海東縁活断層帯の活動の一環と見られ、能登半島北部から富山沖、新潟沖に100㎞もの長さで続く活断層群で、能登半島北端で認められた地盤の隆起もその延長にあたり、逆断層の活動と見られます。
内灘町では顕著な液状化現象が確認されていますが、新砂丘の下に古砂丘が埋もれており、新砂丘が古砂丘を覆っている斜面で発生した可能性があります。日本海中部地震では同じような地質条件の津軽砂丘で多数の液状化現象が確認されています(「1983(昭和58)年日本海中部地震」の項参照)。
今年の1月1日には能登半島地震が起こりました.
主に能登半島における被害は甚大なものでした.家屋の倒壊は視覚的に最も目立ったものでしたが,インフラへの甚大な被害がもたらされ,一部は道路網が途絶え,陸の孤島と化すなどが問題になりました.
地震の発生から2カ月が過ぎてもまだまだ多くの問題が残り,生活に直結するインフラへの甚大な被害はまだ重くのしかかったままである.朝日新聞(2月16日)によると,地震の発生から1カ月半の時点で奥能登の4市町,輪島,珠洲,能登,穴水では,今も約2万戸で断水が続き,輪島市では市内の水道管は全長約600km, 下水管は約170㎞で,ほぼ全域の約1万戸が断水しているという.支援についても道路網が復旧せず,自治体間の支援やボランティアの支援も遅れがち.漁港も隆起などのため漁船を出すことができない.建物の倒壊も目立った.珠洲市では4割超が全壊.国土交通省は近く検討に入るという.
地震と津波
震源断層は日本海東縁断層帯,佐渡の南方から能登半島先端部に伸びる100kmを超す長大な海底活断層であったが,政府の地震調査委員会による詳しい検討,長期評価は終わっていなかった.その結果,気象庁の発表はこの断層帯には触れていなかった.この地震による活断層の動き,地形への影響(隆起や沈降)等の調査結果が待たれる.
産総研の調査
産業技術総合研究所による海底の詳細な調査は長く行われており,日本海東縁の活断層帯について図にも示されていた(岡村,2019)
岡村行信(2019)日本海における活断層の分布と今後の課題.地震第2輯,71 巻,185-199頁
DOI: 10.4294/zisin.2017-21 https://www.jstage.jst.go.jp/article/zisin/71/0/71_185/_pdf
液状化現象による地盤への影響
能登半島地震による液状化現象については,広域にわたり地盤に大きな影響を与えた.その詳しい調査はこれからである.
日本海東縁で発生した,1964年新潟地震,1983年日本海中部地震,1993年北海道南西沖地震では,いずれも詳細な液状化調査が行われた.液状化現象の解明の歩みを示すものでもある.いずれも日本海東縁断層帯の活動であった.
今日は何があった日?>5月26日は1983(昭和58)年日本海中部地震があった日
今日は何があった日?>7月12日は1993(平成5)年北海道南西沖地震があった日
写真は自然災害と環境問題≫地盤災害・斜面災害のページ≫1995阪神淡路大震災被害写真集から転載.
URL:http://www.arukazan.jp/endo/web/foundation-slope/fou-1995HanshinEQ.html
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