最終更新2024.4.24
当サイトでは感覚的に理解しやすいように,天気図やエマグラム,気象衛星からの可視画像,赤外線画像など多く使用しています.それらは情報量が一杯で,見れば見るほど面白いものです.
でも,ちょっと待って.街中で,あるいは部屋の窓から,ふと見上げた空からもいろんな事がわかるんですよ.
空のスナップ写真から読み取ったあれこれを閑談します.
撮影:遠藤邦彦 解説:山川修治
高積雲の斜交が見られます。600hPa(約5km)より下層はNないしNNWの風、上層はWNWの強風で、それぞれ山岳波動が発生した結果、両方の波状雲がクロスして現れたと解釈されます。
山岳効果で上記の安定層が数層に分かれ、レンズ雲も多重になって現れたのだろうと推測しています。
≪ 波状雲 クロス配置の 美しさ ≫
撮影:遠藤邦彦 解説:山川修治
典型的な層積雲(Sc)ですね。日本列島を挟んで寒冷渦が上空にかなり強い寒気団を伴って進入、不安定化して、下層の雲が多発しました。この余寒が抜ける11日頃から急に春めき、アンズなどの開花が進みそうです。
画像:気象庁 解説:山川修治
このところ菜種梅雨の停滞前線が南岸に居座り、最下層でENEの風、その上にSE風、そして前線面の上方にはSWの暖湿気流が入っています。850hPaの天気図を見ると、西に向いた子象の鼻型トラフが、寒気を伴って入っており、低温傾向がしばらく続きそうな状況です。
撮影:杉本悠樹氏 解説:山川修治
日本海の停滞前線上に低気圧が発生し、関東・北陸・四国で春一番が観測されました。それとともに発現したのが綺麗な笠雲。富士山の積雪は少量ですので、スラッシュフローが起きたとしても小規模と考えられます。
画像:気象庁 解説:山川修治
東京の大雪メカニズムを理解するうえで大変重要な図と言えます。➀最下層のNE気流とNW気流。②約1.5km上空のSE気流。➂4~6km上空のSW気流。➃4~6km上空の➂とWSW気流との収束ならびにその波動。⑤珍しい落雷の併発は➃が-10~-20℃に当たっていた。以上の条件が揃っての大雪だったと考えられます。
撮影:遠藤邦彦 解説:山川修治
離れ笠とレンズ状吊るし雲ですね。この冬最も強い冬型気圧配置に移行するにあたり、綺麗な雲が出現しました。離れ笠は空気の乾燥度が高いこと、レンズ雲は風速が強いことを示しています。また風下側で雲の高度が高くなっていますが、関東地方南岸付近の上昇気流傾向を示し、午後のにわか雨もその影響が忍者雲の発生に繋がったためと考えられます。
出典:気象庁 解説:山川修治
秋雨前線が南北振動しながらゆっくり南下し、熊谷では16:30~19:00頃の降水前はSE風、降水後半からNE風という、秋へ向かう変化がみられました。
撮影:杉本悠樹氏 解説:山川修治
このあと、07:00頃、巨大な吊るし雲が発生したとの情報がありました(TBS)。
撮影:遠藤邦彦 解説:山川修治
整然とした高積雲ですね。台風2310号がENEへ去り、その後面の上空でNW風が冷気を伴って吹き、残存していた暖気と対流を起こしたためと考えられます。
《秋の雲 中層冷気 伴って》
撮影:是枝若奈 解説:山川修治
豪快な雨柱ですね。太平洋高気圧の縁辺を巡る湿潤な空気が入るとともに、上空には寒気が入って不安定化しています。驟雨時には熊谷の中下層、河口湖の中層に寒気移流(上空に行くに従い反時計回りの風向変化)が認められます。秋風が上空から入りつつあるといえるでしょう。
撮影:是枝若奈 解説:山川修治
夕焼けの綺麗な彩雲ですね。積乱雲の上面のアンビルと呼ばれる巻雲が流され、その氷晶に当たった夕日が乱反射して素晴らしい光景を醸し出しています。
《猛暑下で 湧いたアンビル 彩雲に》
撮影:是枝若奈 解説:山川修治
多重積乱雲は見事ですね。大量の水蒸気が吸い上げられ、次々に上昇したことのわかる典型的な写真です。
撮影:杉本悠樹氏 解説:山川修治
非常に雄大な笠雲と吊るし雲ですね。大変湿った空気の流入と下層の逆転層の存在が考えられます。
撮影:石綿しげ子 解説:山川修治
富士山の風上側にあたる潮岬の高層データが使えるようになりました。700~770hPa(約3km)付近に下層ジェットがWSW約25m/sで吹いており、770~800hPaにある逆転層の下面でレンズ雲が形成されやすい状況だったといえるでしょう。
山岳効果で上記の安定層が数層に分かれ、レンズ雲も多重になって現れたのだろうと推測しています。
撮影:遠藤邦彦 解説:山川修治
写真15 寒冷渦が東に抜け、北西の風が入ったため、関東地方の大部分では青空が広がりました。上空に残った寒気のため、不安定状態が幾分あり、積雲・積乱雲が所々で発生しました。雲底部分の暗い部分は、雲粒の水滴が大きいことを示しています。
写真20 7層ほどに立ち上った積雲(Cu)は、周辺の優勢な山越え下降流によって崩され、高積雲(Ac)に変化し、消滅しかかっている様子がうかがえます。富士山方面の積雲群も中層の下降流によって雲頂部が抑えられているようですね。
写真40 東北地方では寒冷渦の影響で積乱雲が発達したところもありますが、関東地方には北西風が中央日本の山地を越えて吹き降り、積雲の発達が抑えられ、レンズ雲も見られます。富士山の風下側では、山岳波動で積雲が盛り上がっているのが特徴的ですね。
撮影:遠藤邦彦 解説:山川修治
もう少しのところで「漏斗雲」ですね。明日(6/16)にかけて、寒冷渦の通過により、関東地方でも降雹・竜巻の恐れがあります。
この日は、佐賀県の鳥栖市、福岡県の久留米市、大分県の日田市・杵築市山香・大分市宮川内・大在などで降雹となりました。当日、寒冷渦(上空に寒気を伴う低気圧)が日本海を東進し、その南側に当たる日本列島各地で積乱雲が発達しました。前日6/14には、つくば未来市で積乱雲の雲底部分にロート雲が発生しました(タッチダウンすると竜巻)が、これは大気の不安定度が大きいことを示しています。積乱雲が発達すると、竜巻や降雹が生ずることがあるので要警戒です。
撮影:遠藤邦彦 解説:山川修治
一定方向に積雲が並んでいます。南岸に梅雨前線が停滞し、その前線面を挟んで上下の鉛直シアでトランスバースラインと呼ばれる雲の通り道ができたと考えられます。
撮影:遠藤邦彦 解説:山川修治
北方へ行くほど乱層雲(Ns)が厚さを増している様子が見受けられます。南方からは、台風2302号の東側からアウターバンドの南風に伴う積乱雲(Cb)群が入り、前線付近のCbを含むNsによる強雨帯(テ―パリングクラウド)を発達させ、豪雨に繋がったとみられます。線状降水帯にこだわり過ぎると「木を見て森を見ない」ということになりかねず、後追い解析で災害が先行してしまったともいえるでしょう。
撮影:遠藤邦彦 解説:山川修治
台風が近づいてくると雲を楽しめます。この写真をよく見てみると、笠雲と旗雲が現れています。河口湖のWPFを参照すると、3~4km上空で強い西風が吹いていて、旗雲の発現条件も備わっていたといえそうです。
撮影:遠藤邦彦 解説:山川修治
代表的な層積雲(Sc)ですね。北日本を寒冷前線が通過中で、その南方、関東地方には下層の厚い雲がかかりました。この日15時、はるか南方、北緯6.6°-東経148.9°に台風2302号が発生、急発達し、今後の挙動が懸念されます。
撮影:遠藤邦彦 解説:山川修治
活発な停滞前線のキンク(前線性波動)が関東沖に残り、暗い層積雲が少し残留しています。おおむね高気圧圏内に入り、巻雲が彩雲がかって美しく舞っています。
≪ 皐月雨 去って舞うのは 美巻雲 ≫
撮影:杉本悠樹 解説:山川修治
北東側には吊るし雲(複数のブーメラン型)、さらに風下側には再び上昇した気流によるレンズ雲を含む雲系が見られ、興味深いですね。
撮影:石綿しげ子 解説:遠藤邦彦
関東平野の地上風向は、南~西南西、中央部の気温は24℃。
南西方面は丹沢山地が極くうっすら見える程度で、視界はあまり効きません。薄雲と霞み。ただし11時ごろには石綿さんが山頂に雪をかぶった富士山を撮影しているので、その後海から運ばれた水蒸気により視界が悪化してきたと言えるようです。
夕方、徐々に富士山が何とか見えるようになってきました。18時過ぎにはやや明瞭に見えています。
但し午前中に見られた山頂部の雪は融けた可能性が強いです。
撮影:遠藤邦彦 解説:山川修治
写真9 高層の綺麗な巻雲は、局地的な鉛直シア(雲直方向に風向・風速が異なること)によって上昇流域で氷晶の集団が発生した一方、下降流域では消失したことに対応すると考えられます。
写真18 高層の波状雲は概ねW風の下降中で短周期の上昇流も交互に生じた結果とみられます。
写真28 大きな高気圧圏内で雲が少ないのですが、中下層では一部小規模な対流性雲もみられ、その下から夕日が差し、濃淡のある夕焼けを醸し出しています。
撮影:杉本悠樹 解説:山川修治
寒冷前線が東方へ抜け、寒気団内入り、層積雲(下層の団塊状雲)が出現しました。河口湖WPF⑫によれば、富士山頂付近ではWSW上昇流、その上層(約4km)でWSW下降流(昇温し安定層を形成)がみられ、その安定層下面に笠雲が形成されたと考えられます。風下側(写真左側)の渦状雲は山腹を迂回した気流が収束したことにより生じたと推測されます。
撮影:杉本悠樹 解説:山川修治
見事な放射状巻雲ですね。綺麗な雲ですが、晴天乱流(CAT)の恐れもあるので要注意ともいえます。
撮影:遠藤邦彦 解説:山川修治
ケルビン・ヘルムホルツ波(KH波)が現れています。移動性高気圧の沈降流のもとで発生したと考えられます。
出典:気象庁 解説:山川修治
富士山付近から南東に伸びる雲域が特徴的ですね。中央日本の山岳部の北東側を巡る風と南東側を巡る風が収束し1500kmほどの長さにも及んでいます。ちょうど伊豆諸島付近には低圧部、寒気団内の小低気圧(polar low)が形成されています。5年7か月にも及ぶ黒潮大蛇行がこの低気圧・雲帯に影響を与えている考えられ、大変貴重な画像です。日本地理学会の伊豆諸島シンポで使わせていただくかもしれません。
撮影:遠藤邦彦 解説:山川修治
第1級の寒波で、日本列島・関ケ原付近を通過した雪雲帯によって、八丈島でも雪が舞いました。その頃、富士山風下側には旗雲が発生。
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